明るい所や白いものを見た時に、糸くずやアメーバーのようなものが見える症状を飛蚊症(ひぶんしょう)と呼びます。眼を動かしても見るところについてきます。飛蚊症の数や形、大きさは様々で、暗い所では自覚しにくくなります。
飛蚊症は、多くの場合は加齢に伴った眼の中のゼリー状の物質(硝子体)の生理的な変化にともなうもので、一旦自覚しても次第に気にならなくなることが多く、おおむね心配する必要はありません。しかし、その一部は治療を必要とする病気(例えば後述する網膜裂孔や網膜剥離)の前兆や随伴症状である可能性があります。
自己判断で老化によるものとして放置しておくのは危険です。飛蚊症を自覚したら一度受診していただき、単に生理的なものであるのか、治療を要する状態であるのかを診てもらうことをお勧めします。一旦放置して病状が進んでからでは治療も困難になりますし、治療をしても視力の回復が芳しくないということも少なくありません。
網膜裂孔とは加齢などが原因で網膜に裂け目や穴が生じることをいい、この裂け目から液化した硝子体が網膜下に流れ込むことで網膜剥離の原因になります。網膜剥離とは、その名の通り網膜が眼底から剥がれる病気ですが、剥がれた網膜は機能しないため、その部位に相当する視野が欠けたり、進行して視力に重要な中心部分(黄斑)まで剥離したりすると著しく視力が低下します。孔や剥離の程度が軽めでも、裂け目が出来た部分を走っていた血管が引きちぎられたりすると眼の中で大きな出血を起こしたりして、視力障害の原因となります。
網膜剥離を伴わない、もしくは網膜剥離が軽症の網膜裂孔であれば、レーザー治療で網膜剥離を予防できますが、進行した網膜剥離を伴う網膜裂孔は手術またはガス注入併用レーザー治療などの対策になることがあります。
網膜の裂け目(裂孔)の周りにレーザー光凝固を行い、眼の中の水が穴(裂孔)から網膜の下に入り込まないようにする治療です。また、網膜剥離を拡大させないために行うこともあります。外来で散瞳後に5―10分間で治療は終わりますが、レーザーの効果が出るのにはある程度の時間を要するため、傷痕がかたまらないうちに病状が進行すれば結果的には手術を検討せざるを得ない事もあります。
網膜の裂け目(裂孔)や剥離の程度が軽めでも、裂け目が出来た部分を走っていた血管が引きちぎられたりすると眼の中で大きな出血を起こしたりして(裂孔原性硝子体出血)、視力障害の原因となります。出血の量が少なければ自然に吸収される可能性が高く、レーザー治療で終了出来る可能性がありますが、出血の量が多くてレーザー治療自体が困難な場合や、一旦レーザー治療をしても剥離が進行する場合、さらには初診時ですでに網膜剥離がある程度進行している場合には手術を選択することになります。
網膜剥離は、眼球内にあるゼリー状の硝子体が網膜を引っ張っることが原因の一つとなる病気です。硝子体手術は、その硝子体の引っ張りを解除し、眼球内を空気に置き換え、剥がれた網膜を眼球の内側から押さえつける手術です。気体が自然吸収されるまでは却って見えにくかったりしますが、心配要りませんのでご了承ください。当院の特徴としましては、他院様の殆どが術後に安静・うつ伏せを強要するのに対し、当院では厳しい体位制限を必要としません。可能な範囲で仕事を続けながらの治療が可能ですので、安心して手術を受けられてください。
高額療養費制度により、前年度の納税額次第で月々の医療費支払限度額が異なり、このことにより、上記費用より負担が軽減される可能性があります。
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